バイリンガルへの道

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バイリンガル子育て記

自らの失敗から学んだMr.いとうのバイリンガル教育

  1. 失敗したバイリンガル教育

    もう早いもので、30年間近く英語を教えることに携わってきています。1980年頃から始めた英会話教室の経営やGMの通訳などもしていました。当時、自分の子供が生まれたときは、バイリンガルになって当然だと思っていましたし、周りからも、当たり前と思われていました。実は現在は2度目の結婚ですが、初めの結婚で娘が一人(母親は、アメリカ人)いました。その娘の英語教育のために日本の幼稚園の年長になったとき、半年ほどアメリカの幼稚園に入れたことがありました。期待していたとおり、英語はネイティブのようになって日本に帰って来ました。でも、それから再び日本の幼稚園に戻ったときには、こんどは日本語の理解力、文章力がほぼ皆無の状態になってしまいました。本人も教室の隅で泣いていたのを覚えています。それから、しばらくすると日本語は取り戻しはしたものの、その後は英語を徐々に忘れ、家でもあまり使わない状態になってしまいました。悩みながら、時間は過ぎ、娘を小学校へ行かせる時期が来て、結局、母親の希望通りアメリカの現地の付属小学校に入学させることになりました。 バイリンガル教育として自分の子供に国際結婚だから親が英語を話しているという英語環境だけに甘んじた、聞くだけ英語の弱さ、もろさを実感したと同時にバイリンガル教育の難しさ、言語習得の奥深さ、軸足をしっかり地に着けた教育とは何かを勉強させられました。

  2. バイリンガル教育の再挑戦

    「今度こそは!」という、いろんな意味で前回同様の失敗を繰り返さないために、自分の子供に行ったバイリンガル教育。とにかく英語で話しかける。毎晩英語の本(ベッドタイムストーリー)を読む。日本語も同時進行で父親の私が日本昔話の本や図鑑などを担当、母親は英語の本を担当でした。実際これは、中学受験の前ぐらいまで続けていました。 あとは、なるべく年に1~2回はアメリカの実家に行くなどし、赤ちゃんの頃から家族で英語を学ぶための環境を普段の生活の中に自然に作り上げることをしてきました。 子供が生まれてからは、これからどのような教育を受けさせるのか、宗教はキリスト教なのか仏教なのか、大人になるまでどの国が生活拠点となるのか、将来はどういった方向へなどと、普通、どこの親でも考えることと同じことを何度も夫婦で話し合いました。そして、こどもが自らのアイデンティティーを築ける方向にもっていくことは、親として、義務でもあると考えていました。 こうした努力の甲斐あってか、幼稚園に入るまでは、日本語もでき、英語もでき、絵に描いたようにバイリンガル教育が出来上がっていると満足していました。ところが、楽しみにしていた日本の幼稚園に通い始めて半年ごろから私に英語で話しかけていた子供が、だんだんと日本語だけになってしまいました。いったいここで何が起こったのかと申しますと、子供の言語習得は、サバイバルのために言語を習得していきます。赤ちゃんの頃は母親や母親の友達の子どもたちなど同じ英語を話す子供たちが自分の世界。その中で仲間と話をする、けんかをする、欲しいものを主張することは、すべてサバイバルのため必然的に英語を使う。しかし、年齢とともに子供が親といる時間よりも幼稚園で過ごす時間が増え、別の世界が始まると子供にとって身近な生活環境は、英語ではなく、日本語を使うことになる。なぜ、英語を話す必要があるのかという疑問が出てくる。 人間が成長し、新しい環境に順応するために当然のことなのです。その後の課題は、どのようにしたら英語をキープさせてやることが出来るのか、そして、そのためには親として何をしてやればよいのかなどでした。

  3. 早期の英語は崩れやすいサンドキャッスル

    早い時期の英語教育では、英語を聞き、どんどん真似て、簡単なフレーズを英語で言ったりすることができるようになります。しかしこの時点での英語は、サンドキャッスルのように見栄えが良くてもすぐに崩れてしまうものなのです。 必要なことは、英語を聞くという環境だけに頼らず、英語が読めるように、英語で考えられるようになる基礎を作り上げることが大事です。 後々、英語が読めるように息子にはフォニックスを教えました。 それから根気よく単語のアルファベットを指で一文字づつ押さえながらいっしょに単語を読む練習をさせたのです。 ものを教えると言うことは、一から十まで教える必要はなく、自分で出来るように道筋を作ってやることだと思うのです。 そうすれば英語の本が自分で読めるようになり、本の楽しさを覚える。 また英語を使って「何かをいっしょに作る。」「体験させる。」といったことを幼稚園の頃から今でも続けています。つまり、英語には、聞くことだけでなく、読むこと、書くこと、聞いて動作をすることも同じくらい大切なことなのです。 今、自分の息子を客観的に観て、発音も正しく、自分の言いたいことを英語で表現出来る。 聞き取りもだいじょうぶ。 書くのはこれから中学校以降での努力が必要かなというのが現状ですが、言語習得での鬼門とされる7歳までにある程度バランスがとれた基礎を築いてやることが出来たのかなと思っています。 しかしながら、今では私が英語で話しかけても、日本語で答えます。 それに母親が出張で週末いない時などは、まったく英語を話しませんが、日常の母親との会話、アメリカの祖父母や従兄弟たちとの会話を聞いていても、ある程度安心できる英語力に到達したような気がします。息子にとっては、英語はあくまでもセカンドランゲージであることを常に考えて、今後も英語の「Foundation」をしっかりしたものにしてあげたいと思っています。

  4. 英語を聞くだけではバイリンガルにはなれない

    国際結婚で日本に住んでいて、日常的に夫婦が英語で会話をしていても、そのこどもがバイリンガルになる確立というか、成功率は、皆さんが思っているよりかなり少ないのが事実なんです。 早期のバイリンガル教育が加熱している昨今ですが、バイリンガルになるゴールをいつに設定するのかを決めて、正しく信念を持って子育てをしていかないと、こどもにも精神的な部分で不安な気持ちにさせてしまうことになってしまいます。 注意を払い、常に愛情と根気を持って楽しく無理をさせずに家族で取り組むことが必要でしょう。 「うちの子は、英語の本が読めます。」 と早期英語教育をされている親御さんが自慢げにお話しされることが良くあります。 でも、実は読めていなかったりするのです。 英語の単語を「目で読む」のと、「心で読みとる」との違い。 算数のように課題を次々にこなしていく勉強の仕方ではなく、常に言葉をリサイクルさせながら、言葉に幅を広げることが重要です。 そういった積み重ねが英語が読める、表現ができるに繋がっていきます。 もう何十年も前のことです。ある方に「海外に行く前に英語を教えてください。」と頼まれました。 大学も卒業され、ある程度英語もわかる人に、私は「それでは中学校の英語の教科書を一緒にやりましょう。」と提案しました。 当然、その方はちょっと「むっ」とされました。 そこで私は、その方に「それでは、この絵を見て、私に状況を英語で説明してみてください。」とお願いしたら、ご自分の表現力のなさに気づかれたようで、もう一度中学校の教科書をきちんと使いこなしていけるように指導をさせていただきました。 短期間の指導であったけれど、その方が海外に行かれる前に何とか英語の表現力を身につけることが出来ました。「もう知っている。 だから次のことを勉強するのだ。」という概念は捨て、何度も丁寧に言葉をリサイクルし、自分で使いこなせるところへ持っていく。 そうすれば必ず英語が出来る人になれます。 そして、そのレベルがクリアできてから徐々にステップアップしていけば良いでしょう。

  5. こども教育へのアドバイス

    子ども達にいつスペースを与えるか知ること。

    子供に、「勉強」をインフォメーションとして詰め込むだけに重きを置く、日本特有の記憶重視の能力判定で「こどもに教育をきちんとさせています。」といった達成感を感じている親御さんも多いのですが、忘れてならない事は、こどもが脳にいったん入れたインフォメーションを必ず消化できる「time」と「space」を与えてあげることです。それは、自分流に考える時間であったり、発想ができる空間であったりします。最近のアメリカの社会現象となっているヘリコプターペアレントと呼ばれる親にならないように、こどもが自分で次のステップをきちんと考えられるように、こどもとのスペースの取り方に十分気をつけることが子育てのひとつのポイントになります。

    一瞬を捕まえる。

    こどもが何かに対する興味というものは一瞬のうちに湧き上がったりすることが多々あります。その一瞬をつかんでください。そのときに子供から出る質問はなるべく瞬時に答えてあげて、その話題を広げてあげることが大切です。親が教えてあげられることは、なるべく親が教えてあげることで子供の学ぶ意欲と興味が膨らみます。 また、習い事をする場合は、初めからトップスピードでする必要はない。F1マシンがエンジンを暖め、タイヤを暖めながらコースを走り、マシンの確認をしながら、十分な時間を費やすからトップスピードを出すことが出来る。野球のピッチャーがブルペンで何度も投球練習で肩を慣らし、調子を見ながら十分な時間を費やしてからマウンドに上がる。英語も同じ。「自分のレベルはここだから、ここから始める」とか、「ちょっと上のレベルから始めたい。」気持ちはわかるが、実は簡単と感じるレベルから調整し自分のトップスピードの状態にもっていけば良い。なかなか子役スターが大人になってから芽が出ないのはなぜなのかを「トップスピードにもってくるための調整の理論」を一度考えてみてください。これは英語だけではなく、中学受験などにも大いに通じることでもあると思う。小学校の2,3年生が中学受験の塾に通うことなど本当に必要なのだろうか。

    こどもが何かに対する興味というものは一瞬のうちに湧き上がったりすることが多々あります。その一瞬をつかんでください。そのときに子供から出る質問はなるべく瞬時に答えてあげて、その話題を広げてあげることが大切です。親が教えてあげられることは、なるべく親が教えてあげることで子供の学ぶ意欲と興味が膨らみます。

    また、習い事をする場合は、初めからトップスピードでする必要はない。F1マシンがエンジンを暖め、タイヤを暖めながらコースを走り、マシンの確認をしながら、十分な時間を費やすからトップスピードを出すことが出来る。野球のピッチャーがブルペンで何度も投球練習で肩を慣らし、調子を見ながら十分な時間を費やしてからマウンドに上がる。英語も同じ。「自分のレベルはここだから、ここから始める」とか、「ちょっと上のレベルから始めたい。」気持ちはわかるが、実は簡単と感じるレベルから調整し自分のトップスピードの状態にもっていけば良い。なかなか子役スターが大人になってから芽が出ないのはなぜなのかを「トップスピードにもってくるための調整の理論」を一度考えてみてください。これは英語だけではなく、中学受験などにも大いに通じることでもあると思う。小学校の2,3年生が中学受験の塾に通うことなど本当に必要なのだろうか。

    「サラウンディングから得る影響とは?」

    こどもの周りの環境、直接的、または間接的に影響を与える身近な環境を考えることの重要性と私は考えています。例えばクラスの中では、大きく分けて積極的に話すこどもとそうでないこどもに分かれます。クラスの授業参観などで、あまり発言をしたがらないこどもの親御さんは、「家の子はぜんぜん積極的に発言しないのですが、本当に英語がわかっているのでしょうか?」などと必ずと言っていいほど、質問を受けます。実は消極的に見えるお子さんも結構理解して頭の中は習得しようと動いているのです。おとなしいこどもほど、積極的に話している子の英語を聞き、自分の中で真似て、英語をそれなりに組み立ててシュミレーションをしているときがほとんどでしょう。だから、先生が英語で話すことを聞くことと、自分と同じ年齢の仲間が英語で話していることを聞くことは両方とも、とても貴重な時間であり、効果があることなのです。つまり、身近な環境、サラウンディングからの習得と言うことになります。 自ら英語を話したいと思う時期が来れば必ず思った以上の力は備わっているはずです。恥ずかしがりやなこどもほど、時間をかけて、プレッシャーを感じさせない指導をしてあげることが必要だと思っています。

 

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